皐月抄19−5



退院の夫笑み溢れ新茶汲む
                康子
朝の卓英気みなぎる新茶の香
                修一
待ち合せ友は手織の春ショール
                順子
初燕交差点を十文字に
                昴
新茶の香新職員の細き指
                直美
新茶の香先づ仏前へ供えもし
                峰子
走り茶を供え語りし逝き人に
                葉
要らぬ物まだ捨てきれぬ若葉風
                てる子



其々の持ち味生かす古茶新茶
                浩子
古茶もよし新茶なほよし受けのよし
                久子
茶畑のさ緑映ゆる茶摘時
                昭子
茶柱の二本も立てり古茶すする
                真代
芽牡丹に光る夜来の雨雫
                慶子
走り茶や手あそび歌を口遊む
                敬子
二人静雄しべの白き裸花
                日出子
玄関を違へず去年の燕来る   
                恵里子