卯月抄19−4


月朧恵那一山に絹かけ
              慶子
春おぼろ天竜川の船付場
              順子
朧夜や昔鉄路の在りし道
              久子
春の月待つ人もなく家路かな
              葉
朧夜の川黒々と流れけり
              峰子
ハミングの散歩の二人おぼろ月
              浩子
嬰の手の内の湿りやおぼろ月
              真代
顔見せぬ子ら案じつつ雛あられ
              恵里子  


夜遅き学び舎の灯や受験生
              直美
朧月今日息災の雨戸閉め
              敬子
伝説の胞衣祀る山おぼろ月
              修一
峠まで登れば遥かおぼろ月
  
              昴
平成のイチロー去るや桜舞ふ
              てる子
病癒え息災祈る彼岸寺
              昭子
方寸や香炉両手に春の夢
              日出子
靴の音二人合せておぼろ月
              康子