弥生抄19−3


北の窓点々連ね鳥帰る
              峰子
点となり線となりつつ鳥帰る
              真代
オリオンの西に傾き冬去りぬ
              昴
春浅し語り合ふ猫ひざの上
              日出子
鳥帰る黝き山方位盤
              修一
園児らのお砂遊びや雀の子
              慶子
鳥帰る外つ国人の別れかな
              久子
鳥帰る日和となりし雲の陸
              葉  


時告ぐる鐘の鳴るなり鳥帰る
              敬子
連れ立ちて酒蔵開き梅香る
              浩子
鳥帰る岩村に住み十二年
              康子
春うらら電話の先に子の笑顔
              順子
鳥帰る声つなぎ合ひ幾千里
              てる子
年ごとに殖えて十株の福寿草
               直美
ベッドの母降りて祝ひの浅蜊汁
               恵里子