如月抄19−2


さりげなく花屋をのぞく春隣
               康子
霜の花踏みて喜ぶ子らの声
               葉
クリーム塗りほほ笑む母や春隣
               恵里子
春きざす日を背に撫づる髭の面
               修一
凡の身に余得添ひけり春隣
               峰子
枝垂れ咲く餅花くぐる古希の席
               日出子
瞼とじ五感伝はる春隣
               敬子
外遊びの声高くして春隣
               直美 



春隣風硬ければ水もまた
              真代
初句会岩村音頭に盛り上り
              昴
送る人送られる人着膨れて
              慶子
引き返し施錠確しかむ春近し
              てる子
暖冬の朝な夕なの寒さかな
              浩子
寒晴や外出行こうか止めようか
              久子
春近し弾む心の老いてなほ
              順子