長月抄18−9


終戦日ともに苦楽の友如何に
                久子
残る暑に生き耐へ絶えの草木かな
                康子
生欠伸のどの奥まで残暑かな
                修一
水の綺羅残暑を凌ぐよすがなり
                峰子
秋の色鎮もり返る恵那社
                敬子
孫等去り静寂の家に秋の風
                直美
夫婦して仮眠をすれば法師蝉
                昴

余生の道険しかりけり暑き秋
              てる子
今年ほど秋風恋ふる年はなし
              葉
友よりの残暑見舞の一句かな
              浩子
雷鳴や頼みの雨ももの足りぬ
              順子
病得て夫の支へや秋に入る
              恵里子
睡蓮のモネの絵しのぐ写真かな
              日出子
秋暑し鬼籍に入りし叔母の顏
              慶子
法師蝉ほうき持つ僧佇みぬ
              真代