葉月抄18−8


優美なる鮎を見せゐる釣り天狗
                慶子
白鷺の花と咲きたる木々の上
                昴
いち早く雨意の風聞く軒風鈴
                峰子
吟行の思ひ出深し茗荷の子
                久子
風鈴に母の句吊るし一服す
                康子
風鈴に夜半の風来る子守唄
                修一
寺参り僧の一礼涼しけれ
                順子  

玄関に打水をして子らを待つ
                敬子
風鈴の音色に忍ぶ故郷かな
                葉
口遊む夕焼け小焼け良き里よ
                直美
浴衣がけ粋な二人は輪の中に
                浩子
検査終へ老舗の鰻味香り
                恵里子
吹く風も月の光も灼るかな
                てる子
夏豪雨一気飲み込む爪のあと
                昭子