水無月抄


ばらの園冗句飛び交ふ四人婆
                直美
芋植うる俳句好きなる卒寿かな
                久子
清冽の田んぼに並ぶ早苗かな
                昭子
ばら園の広く眩しき妻の後
                昴
緑濃し日毎に恵那山変りゆく
                慶子
ゴールデンウィーク持て成し大童
                恵里子
野薔薇をば確かめに行く土手掃除
                 葉
バス停の垣根の薔薇や今朝の雨
                 敬子


薔薇一枝仏の夫に挿しにけり
                順子
薔薇園の連れ立つ母娘?競ふ
                修一
寝そびれて梅酒ひと口夜半の風
                てる子
日時計を包む薔薇園子らの声
                康子
郭公の声ばかりなり山の里
                日出子
図らずも母の命日カーネーション
                真代
平凡に生きて非凡にばら咲かせ
                峰子