卯月抄18−5


春うらら農婦の声のをちこちに
                直美
うららかや「半分青」の城下町
                康子
岩影に小さき花や春告げる
                日出子
麗かや日々身に適ふ暮し享け
                峰子
春疾風ブルの谷間を通過する
                昭子
麗かや姿の見えぬ鳥の声
                葉
病む友へ麗かなるを文にして
                敬子
春うらら茶店にひかれ寺参り
                真代


麗かや父の時計のちくたくと
               恵里子
打敷の色の褪せたる彼岸かな
               久子
水温む昔洗濯せし河原
               慶子
糸通す感覚にぶる春うらら
               てる子
早朝の鶯聞いてうららかな
               昴
麗かや婆さん畑の指揮をとる
               修一
天竜の水変りなき春うらら
               順子
麗かや彩り初むる散歩道
               浩子