弥生抄18−3


犬ふぐりよしと気合の鍬一打
               直美
日溜りに猫の寝ころび犬ふぐり
               修一
大雪や結晶束ね落下する
               昭子
犬ふぐり名前の謂れ辞典引く
               慶子
大地をば掴むがごとき犬ふぐり
               葉
そこここに瑠璃鏤めて犬ふぐり
               峰子
星屑のごと田に広ごりぬ犬ふぐり
               康子
メダルより精神光る冬五輪
               浩子    


ふる雪を両手に掬ふ露天風呂
               日出子
病癒え畑に行けば犬ふぐり
               恵里子
畑道に踏まれ踏まれて犬ふぐり
               敬子
独り居の三寒に待つ四温かな
               てる子
難儀して妻の見つけし犬ふぐり
               昴
雲深き黄色に光る福寿草
               順子
春寒し亡き人ばかり夢に出て
               久子
人の口に戸は立てられぬ春の風
               真代