如月抄18−2

 寒空の月と星座と音の無き
                 浩子
恋猫のいつも振られし母の膝
                 康子
初茶会瑞気新たや友の席
                 日出子
雪深く踏み締むリズムワルツかな
                 直美
恋猫の追つ掛け引つ掛け裏路地へ
                 峰子
雪しまき老いて居られぬ予定表
                 てる子
通ひ婚というも可笑しき通ふ猫
                 修一
猫の恋聞かずに季節移りけり
                 昴 
 


風邪薬ふはふは熱き玉うどん
               恵里子
うかれ猫夜の国道を横切りぬ
               真代
恋猫の声赤子かと身をたてる
               順子
静寂を奪ひ取りたる猫の恋
               葉
娘の電話「ここも雪です」一日暮る
               久子
出迎へる父母居ぬ里の梅香る
               敬子
戯れ猫しじまを裂いてはばからず
               慶子