文月抄17−7






懐かしき時へいざなふ靫草
               日出子
美事さを詫びつつ払ふ蜘蛛の城
               てる子
雨蛙降つてくるよと賑やかに
               敬子
扁額の墨跡薄き夏館
               慶子
空梅雨や上着脱いだり羽織つたり
               真代
大賀蓮水滴ひかる雨あがり
               昭子
束の間に北斗と蛍引き合ひぬ
               康子
万緑や娘夫婦と絵画展
               恵里子
梅雨晴間洗たく物の眩しかり
               浩子