師走抄17−12



短日や庇工事の遅々として
                恵里子
日の短備前の花器に替へにけり
                直美
短日や干し物急ぎ取り込みぬ
                浩子
木枯しや押し上げくれる坂の道
                昴
落葉踏むふはりと弾み返さるる
                昭子
冬木の芽明日を信じて天を指す
                てる子
踏切の長き警報日の短
                修一
短日や遊覧船の船留り
                慶子  


留守番と言へど一役暮早し
               真代
束の間の縁の冬日に身をおきて
               敬子
短日や蔵造りなる美容院
               順子
不揃ひの牛蒡洗いて夫思ふ
               日出子
学童の声響き来て暮早し
               葉
波しぶき浴びて巌に紅葉映ゆ
               久子
冬薔薇遺影と?に孫の婚
               峰子
短日の荒磯の松傾けり
               康子