当月抄17−11


女城主の胸元正す菊師かな
               真代
秋雨や茶庭の草の玉雫
               日出子
花そばの紺碧の空清々し
               浩子
栗を剥く親子の会話なかりけり
               敬子
菊の卓夫と一緒に今朝のカフェ
               康子
一直線の田んぼ切株暮の秋
               昭子
幾重のも遺影とりまく菊の花
               順子
閉店を告げる貼紙菊の鉢
               てる子  

天地人瀬音風音ふふむ風
              峰子
百菊を並べ香りの駅となり
              修一
友帰りつるべ落としの空みあぐ
              葉
旧友と俳句談義や菊日和
              恵里子
人住まぬ在所の庭に小菊咲く
              久子
食卓に小さき菊の飾られり
              昴
戸隠の女将にねだる八重の菊
              直美
無人駅歩せば舞ひ飛ぶ草の絮
              慶子