睦月抄17−1

振袖のきりりと襷弓始め
              和美
朝の陽に輝きとけ初む今朝の霜
              と志
変る世を変らず生きて年新た
              久子
ほめられずきらはれもせず老いの春
              昭子
百円に百千願ふ初詣
              康子
あまたある家族の願ひ初詣
              恵里子
霙降る術後の苦行かゆすする
              てる子
柏手の音で占ふ初詣
              直美
初詣祖父母の在りし頃恋し
              順子
みくじ凶なれど来る吉初詣
              修一  

あれやこれ祈ぎ事増ゆる初詣
                慶子
委ぬるといふ豊かさや去年今年
                峰子
かけ違ふボタン直され初笑ひ
                真代
初雪にすずめの跡や小紋形
                さなへ
藁帽子被せ支度の冬牡丹
                敬子
晴れなれど居間に参たる初詣
                葉
柚子湯浴びまろき心になりにけり
                浩子
いびつとて味は傑作冬林檎
                日出子
元旦にやつとごろ寝を楽しめり
                昴