霜月抄16−11


二万キロ元の番地へ鴨渡る
              恵里子
一時の湖面にぎはす渡り鳥
              浩子
国境なき大空や鳥渡る
              真代
美濃は晴れ飛騨は曇りと鳥渡る
              峰子
うそ寒やペットを抱く小半時
              慶子
太鼓打つ孫の成長秋祭
              昭子
一族郎党引き連れ鳥渡る
              久子
渡り鳥仰ぎ見てゐる猿の群れ
              康子



夕暮の雲居路をゆく渡り鳥
              葉
秋残花唱よみあぐる茶の稽古
              日出子
コーヒーを飲みつつ望む鰯雲
              昴
大空に命あづけり渡り鳥
              敬子
鳥渡る農村の景日本一
              修一
子の帰国秋の味覚をあれこれと
              順子
朝寒や羽りしものの重かりき
              と志
泥の田に足を取られつ稲を刈る
              直美