　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とおやま１６５集

　語り継ぐ城主はをみな揚羽舞ふ
　　　　知立市　　　新美鉄哉
老鶯や一斎の戒胸に読む
　　　　豊田市　　　河合　要
岩村の思ひ出つれて五月尽
　　　　豊田市　　　山田さち江
青嶺指す山城跡の方位盤
　　　　豊田市　　　高橋　毅
柏餅鍾馗を飾る和菓子店
　　　　豊田市　　　中根久仁子
梅雨晴や館訪ぬる夫婦かな
　　　　瀬戸市　　　加藤啓明
梅雨の中城山登りぶつしよぶしよ
　　　　名古屋市　　瀧　一志
岩村の街並み歩き汗にじむ
　　　　名古屋市　　犬飼友美
岩村のスティクゼリー懐かしむ
　　　　名古屋市　　宇佐美幸大

ひぐらしに誘はれ憩ふ城の址
　　　　長久手市　　　渡辺洋子
とんびの輪のどかにめぐる城の址
　　　　多治見市　　　堀　逸郎
新緑の影を自転車漕ぎ上がる
　　　　中津川市　　　赤尾袈夫
城垣の反り美しき蝉時雨
　　　　恵那市　　　　西尾早苗
山城址風涼やかに渡りけり
　　　　恵那市　　　　牧野紀代子
ますがたの曲輪の今はクローバー
　　　　恵那市　　　　填島春枝
山城へ歩いて来たと汗ぬぐふ
　　　　恵那市　　　　西尾啓子
城址の石段急ぐ蟻の列
　　　　恵那市　　　　井村久代
走り根を踏みゆく曲輪夏帽子
　　　　恵那市　　　　牧野久代